公共図書館・学校図書館の皆様へ

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サピエでは視覚障害者などの活字による読書が困難な方が、読書や生活情報の収集を通じて豊かな人生と生活を送ることができるよう、多くのボランティアや協力者の力をお借りして点字図書や録音図書などの製作と蓄積を行ってきました。「サピエ図書館」で、これらのデータをダウンロードしたり、貸し出しを受けることができます。
また、国立国会図書館の点字図書や録音図書も「サピエ図書館」を通じて利用することができます。
読書バリアフリー法の成立・施行等を受け、活字による読書が困難な図書館利用者へのサービス提供の場面で、サピエを一つのツールとしてお使いいただければと思います。

【1】サピエでできること

公共図書館や学校図書館、大学図書館(学生支援室)などにおいて、サピエがあったらできることをご案内します。
公共図書館向け「サピエ」パンフレット

1 サピエの書誌

サピエで検索できる書誌は以下の通りです。これらを一括で検索し、検索結果一覧を表示することができます。
・サピエ加盟施設・団体が登録した障害者向け資料の書誌
・国立国会図書館が管理する障害者向け資料の書誌(データダウンロードが可能なもののみ)

2 図書データのダウンロード

サピエから、音声デイジー、テキストデイジー、マルチメディアデイジー、点字の図書データをダウンロードして利用することができます。
ダウンロードをする際に、特別な機器やアプリケーションは必要ありません。貸出を行う際には、CD等の利用者が希望するメディアにデータを保存します。
図書データを再生する際に、専用の機器やアプリケーションが必要です。

3 図書データの再生方法、機器

利用したい図書データのデータ形式によって、再生する機器やアプリが異なります。
「サピエ図書館」を利用するための機器・アプリの紹介

図書館側で機器やアプリを用意しておければ、それらを持っていない利用者も図書を利用することができます。
地域の点字図書館(視覚障害者情報提供施設)では、機器の貸出事業を行っている場合もあります。機器貸出対象者や申込方法について、地域の点字図書館や視覚特別支援学校等にお問合せください。
シナノケンシ株式会社では、図書館職員を対象にした機器操作方法などの研修会を行っています。
シナノケンシ 図書館職員向け「読書バリアフリー推進」研修会のご案内(無料)

4 対象となる利用者の図書館登録

公共図書館や学校図書館等にサピエ利用希望者があった場合には、活字資料の利用が困難な状態であることを確認する必要があります。確認の際には、日本図書館協会の「障害者サービス著作権ガイドライン」もご参照ください。

[利用登録の流れ・一例]
①各図書館の窓口や電話などで、利用者やその代理人から、サピエへの登録依頼がある。
②すでに自館の障害者サービスの登録をしている利用者であれば、⑨に進む。
③サピエへの利用登録をするためには、その前に自館の障害者サービスの登録が必要であることを説明して新規登録を行う。
④自館の登録様式等を用いて、利用者の氏名等の利用登録情報や連絡先を確認、記録する(必要により職員が代筆)。
⑤視覚障害者等に該当するかどうかを、本人や支援者からの聞き取りや病状・障害の記載のある書類(障害者手帳に限定しない)の提示により確認する。(上記「障害者サービス著作権ガイドライン」別表3を参照)
⑥その利用者にとって利用しやすいデータ形式(CD、SD、ダウンロード等)や、利用できる再生環境の有無などを確認する。(利用者情報として記録する)
⑦必要により、郵送の方法、デイジーの再生方法、サピエの利用方法等を説明する。
⑧以後、自館の利用者としても、目録の提供、資料の貸出等のサービスを開始する。
⑨サピエに登録するための二つの方法を案内して利用者にしてもらう。(利用者自身でサイトから登録、図書館職員による代行登録)
⑩サピエ画面上で、該当利用者の登録確認が来たら承認する。(代行登録では不要)
⑪サピエ事務局から直接利用者にID、パスワードがメールで送信される。

5 相互貸借と利用者への貸出(オンラインリクエスト)

「サピエ」には、オンラインリクエストという機能があります。図書データの直接利用(サピエのホームページからの音声データなどのダウンロードやストリーミング)とは別に、貸出用資料の相互貸借ができます。

[オンラインリクエストの流れ]
①利用者:該当図書のオンラインリクエストボタンを押す
②利用者登録館:利用者のオンラインリクエストを受け取り、所蔵館にリクエストを送信
③所蔵館:利用者登録館からのオンラインリクエストを受け取り、該当資料をリクエスト館に郵送
④利用者登録館:所蔵館から資料を受領
⑤利用者登録館:貸出を希望する利用者に窓口や郵送で貸出
⑥利用者:利用後は郵送で図書館に返却
⑦利用者登録館:利用者から返却された資料を所蔵館に返送

6 地域の点字図書館の活用

それぞれの地域の点字図書館(視覚障害者情報提供施設)では、貸出用の録音資料や点字資料を製作・所蔵し、主に視覚障害者に対して貸出を行っています。ボランティアの養成事業も行っています。
音声及び点字データの製作、生活情報の提供、再生機器の貸出や操作説明に関することなど、お気軽にご相談ください。
お近くの点字図書館(視覚障害者情報提供施設)

一方で、点字図書館には、公共図書館や学校図書館が所蔵しているような豊富な活字の蔵書や学習資料は所蔵されていないことがほとんどです。
そして、点字図書館の利用対象者は多くの施設では「視覚障害者」のみに限定されています。
点字図書館から、公共図書館や学校図書館の皆様に、レファレンスのご協力やご助言、教員との連絡・連携、視覚障害者以外の読書に障害のある方のサポートなどをお願いする場面があるかと思います。
利用者のために、相互で協力をしていきましょう。

7 年会費

書誌及び図書データをダウンロードを利用する場合は年会費40,000円、書誌利用のみの年会費は20,000円です。

【2】サピエ会員施設・団体になるには

サピエの団体会員登録を希望する場合には、利用規約(施設・団体)をご確認、ご承諾のうえ、申込書類をご用意ください。ご不明点がありましたらサピエ事務局までお問い合わせください。
サピエ施設・団体利用規約
施設・団体向け サピエ入会案内

【3】図書館等のサピエ利用に関するFAQ

Q1.「どのような方が利用できますか?」
A1.活字資料の利用に支障をきたす障害はさまざまです。ここでいう「障害」とは、身体障害者手帳や療育手帳などの所持の有無は問いません。登録の際に、障害者手帳の提示を必須条件としている場合は規定を改めてください。
読書をしたい人に困り感があれば、それは読書における「障害」です。
利用登録時に各図書館で必要とする客観的な判断書類等は、日本図書館協会の「障害者サービス著作権ガイドライン」もご参照ください。
以下に例を挙げます。
・目が見えない、見えにくい、まぶしさ又は暗さが苦手なために文字が読みづらい、視野が欠けている、片目が見えない、長時間まぶたを開けていられないなど(視覚障害)
・耳が聞こえない、聞こえにくいなど(聴覚障害)
・本を持つことやページをめくることが難しい、大きな本が持てない、長時間座った姿勢を保って本を読むことが難しい、視線しか動かすことができないなど(肢体障害、いわゆる「寝たきり」の状態)
・目で文字を読んでも内容の理解が難しい、その人にとって落ち着いた環境でないと本が読めないなど(知的障害、発達障害)
・長時間文字を追うことが苦手、文章に集中するのが苦手、人の多い閲覧室が苦手、感覚過敏など(発達障害、精神障害)
・読み書きが困難、ディスレクシアなど(学習障害)
・自宅や入院している場所から図書館への移動ができない、治療などのために起き上がって本を読むことができないなど(内部障害、一過性障害、入院患者)

Q2.「ユーザーからの要望の事例を教えてください」
A2.障害の有無に関わらず、図書館利用者の「読書」の目的は人それぞれです。
小説をまるまる1冊読みたい、勉強をしたいといった目的から、自分の仕事や病気に関する情報を集めたい、家電の取扱い説明書を読みたい、趣味の分野や推し活(有名人のファン活動)の一環で特定の情報がほしい、映画を楽しみたい、自由に移動するための最新情報を確保したい、世の中のニュースや災害情報などの生活情報を知りたい…など。
「利用したい情報」と「利用者が使いやすい媒体(形態)」の組み合わせが、その利用者の要望ということになります。

Q3.「利用者が希望するコンテンツ(データ)がサピエにありません」
A3.地域の点字図書館(視覚障害者情報提供施設)にご相談ください。新たにコンテンツ製作をするなどの対応を、加盟施設・団体間でフォローすることもできます。
公共図書館や学校図書館などで所蔵している蔵書や資料の情報を、対面リーディングなどの手法でユーザーに提供することで、要望に対応することもできます。拡大読書器や大きな活字の資料などを整備することで、要望に対応することもできます。

みなサーチ(国立国会図書館障害者用資料検索)も利用することができます。

Q4.「デイジー図書って何ですか?」
A4.アクセシブルな情報システムのことです。
音声、テキスト(文字データ)、画像を検索しやすく組み立てた図書の形式です。

Q5.「利用者から機器の操作説明や、個人会員のログイン方法の説明を求められました」
A5.それぞれの地域の公共図書館や学校図書館などで、ユーザーからの質問に対してすべて回答できなくても大丈夫です。サピエサポートセンターをご活用ください。サピエサポートセンターでは、ユーザーと同じ機器などを使い、操作やログイン方法の説明を電話で行っています。地域の点字図書館(視覚障害者情報提供施設)などで、機器の操作説明会などを行っていることもあります。

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