年頭のご挨拶(理事長 岩井和彦)

 全視情協ホームページを訪問してくださる皆様へ

 初春のお慶びを申し上げます

 2009年は暗いニュースが目立つ幕開けとなりました。

 経済は未曾有のアメリカ発世界大恐慌の波を受けて倒産が相次ぎ、国民生活も大きな影響を受けました。国政は、福田首相の突然の辞任で麻生内閣が発足したものの、就任3ヶ月で政界再編もにらんだ動きが目立つ慌ただしさです。こうした混乱は目の見えない方、見えにくい方への情報提供を目的とする社会福祉事業やボランティア活動にも陰に陽に影響をもたらしていますが、こうした生きづらさのいっぱいある時代だからこそ、お互いを思いやる、豊かな心が求められるのだと思います。

 私たち、視覚障害者情報提供施設と、点訳・音訳活動を通じて、目の見えない、見えにくい人たちへの情報提供を志す多くの団体は、きわめて厳しい社会情勢の中でさまざまな活動を行っています。このひろばには「点字」と「音訳」をキーワードに、障害の有無を超えての「心のつながり」があります。

 皆さんは「社会復帰促進センター」をご存じでしょうか?いわゆる「刑務所」ですね。

 全視情協は、今年から国のPFI事業としてスタートした島根あさひ社会復帰促進センターで、訓練生の方々に点訳・音訳に関する基本的な学習と軽易な作業を通じて視覚障害者への理解を深めていただき、同時に会員施設の作業負担を軽減するという大事業に着手します。

 本事業は、2007年、内閣府からバリアフリー推進賞を受賞した当会が、社会貢献事業のひとつとして取り組むものです。社会のさまざまな生きづらさを経験する人たちへの支援事業に参画することで、何らかの理由で犯罪を犯すことになった受刑者に、生きづらさを克服して社会参加しようとする者との心の共感を持っていただくことで、社会復帰のお手伝いをしたいと考えております。

 現在、全視情協島根あさひ事業所スタッフを中心に、全視情協の組織をあげて準備に取り組んでおります。これまで経験したことのない作業環境にとまどいは隠せませんが、関係者との協力のもと一歩ずつ進んでまいりたいと存じます。

 2011年7月24日、地上波テレビがデジタル化され、今のアナログテレビは、「大型ごみ」になることをご存じですか?地上波デジタル放送で視聴者サービスは大きく変わりますが、視覚障害者や聴覚障害者はその恩恵をどれだけ受けることができるのでしょうか。「障害者に優しい地デジ放送」のキャッチフレーズもありましたが、残すところ2年半となった今も、地上波デジタルになれば、字幕、手話、解説放送はどうなるのか明らかではありません。

 2006年12月に採択された「国連障害者権利条約」で、音声言語と「同等」と認められた手話を、デジタルテレビ放送で「同様に」見る手段は見通しが立っていません。権利条約の30条では、視覚障害者もテレビや映画を楽しむことができるようあらゆる手段を講じること、とあります。しかし、昨年10月に「視覚障害者向け音声解説を全放送番組の10パーセントに付与すること」という行政指針が出ましたが、具体化の検討は遅々と進まないことに私たちはいらだっています。

 国民文化ともいえるテレビや映画を誰もが享受できる環境を目指して、全視情協は他団体と協力して、こうした状況を打開するために、行政や放送事業者・家電メーカーへの働きかけを強めてまいりますので、皆様のご支援をよろしくお願いします。

 本年は、点字の考案者ルイ・ブライユ生誕200年の記念すべき年です。ルイ・ブライユの生家はパリ郊外のクーヴレの村に当時のまま保存されていますが、その中庭の掲示板には「点字の発明により盲人に知識の扉を開いた」とあります。

 いまや電子化された点字は、我が国の視覚障害者への情報データバンク(情報の玉手箱)「ないーぶネット」として多くの視覚障害者に受け入れられて21年目を迎えることになりました。

 国の内外で各種記念のイベントが企画されていますが、当会はややもすると「点字離れ」が言われる状況の下、点字は視覚障害者自らが読んで書くことができる唯一の文字であり、視覚障害者の権利は点字の発展とともにあったことをふまえて、“点字復権”の絶好の機会として点字啓発事業に取り組んでまいります。

 本年も倍旧のご支援のほどお願い申し上げます。     2009年 吉日

 特定非営利活動法人

 全国視覚障害者情報提供施設協会

 理事長 岩井 和彦

本文終わり

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